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吼える月
第27章 再来
必死に走り、兵士達を突き飛ばすようにして中に入ると、大きな男の向こう側で、ソンファが丁度身じろぎしたところだった。
――母さんっ!!
ソンファの目がシバを見つめて見開く。
男がそれを見てゆっくりと振り返る。
その体格、その服――。
シバは錯覚してしまった。
ここにいる父、ジウが母を助けに来てくれたのだと。
その男の顔は――。
――ギル!?
その顔はギルと瓜二つの顔。
だがこちらの方が老けているし、ギルと同一ではないという直感があった。
――あなたは、ジウだよね!? 助けに来てくれたんでしょう!?
シバは色々と、父に向ける最初の言葉を考えていた。
だが実際の場面では、そんな言葉は出て来ない。
その時、シバが突き倒してきた兵士達が中に入ってきた。
――ジウ殿!!
彼を呼ぶ声はそれだけではなかった。
――武神将!!
シバの頭の中は混乱する。
父=ジウ=救済
その方程式が崩れていく。
父=ジウ=武神将=仲間の仇
父は……敵?