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吼える月
第27章 再来
――武神将! あなたの"妻"は保護しましょう。ご子息も。
仲間の悲鳴が聞こえる。
これから連れられるのか、殺されるのか。
こんな無理矢理に、連れられた先が幸福とは思えない。
"光輝く者"
それは蔑称だと、シバは悟った。
集落の中では皆がそうで、特に思うことがなかった髪の色。
兵士達もジウも、髪の色が黒くて夜空のような色だった。
太陽の元に集えるだろう者達が闇色の髪をしていて、太陽を知らない者達が光輝く髪の色をしている。
ただ、それだけじゃないか。
輝きの色を持つだけで、こんなことをされている。
この場では、集落で育った方が異端者だった。
もう平凡に暮らすことは出来ない。
父により、帰るべき愛おしい場所がなくなったのだ。
シバはそう悟る。
さらに追い打ち。
――これは、我が妻にも我が子供にもあらず!!
そう叫んだのはジウ。
起き上がったソンファはそれを見て、はらはらと涙を零した。
――あなたは、父さんだろ!?
――否!! 我が妻も息子も、光に穢れてはおらず!!
シバの目からも涙が零れた。
――僕達は……穢れてない。見ればわかるだろ!?
――ここは、私が処理をする。皆の者は出よ。
"処理"
――父さん、なんでしょう?
――シバ、やめな……ゴホッゴホッ。
――母さ……。
――動くな。
非情な武神将は、母を思う子供を制する。
手足を動かすシバを、易々と肩に担いでしまう。