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吼える月
第27章 再来
そして――。
ジウの出した愚策により捨てられた子供達に、"遮煌"の時の無力な自分の姿を思い出しながら、もう二度と子供達を泣かせたくないと、護り続けてきたシバ。
今、屈強に育った自分を作り出した元凶というべき男が、自分の名を呼び、自分を救ったことが、信じられない思いでいた。
「シバ、ぼさっとするな!! また攻撃が来る!!」
ジウに怒鳴られ、まるで人形のように動いて従いながらも、どうして突然の招かれざる闖入(ちんにゅう)者に、無能のように言われないといけないのかと、憤慨した。
「今さらなにしに来た!! お前の手など借りなくとも……」
「ぐぉぉぉぉぉぉ!!」
シバの愚痴も、金色の光と、押し返す青い光の猛勢に遮られてしまう。
「いいか、シバ!! 青龍は大地の神獣。包み込んですべてを守ろうとする気持ちが、力になる!!」
「そんな、こと――っ」
「意識をもっと力に集中させろ!! お前に出来るはずだっ!!」
「こっちの事情も知らないで、何の根拠で好き勝手に……」
シバの体内に巡る、大量の力がジウの声に導かれて放出される。
本来ならば噛みついて殺してやりたいのだが、今はジウだけが、この場をやり過ごすことが出来る、貴重な力の担い手だった。
その証拠に、金色の光を弾く手応えを感じたシバは、面白くなくて顔を歪めていく。
「根拠ならある。それはお前が私の息子だからだ。
そう顔を顰めるな。ソンファの綺麗な顔が……」
「今さら、父親面するな!! "遮煌"のことを忘れたわけではあるまい!!」
「………」
「母さんが死んだのは、お前のせいだ!!」
「………」
「ギルから"遮煌"の理由を聞いた。だがお前はこの国の武神将だろうが!! 武神将なのに守るどころかひとを殺し、そして皇主の命はないのに、独断で子供をまた路頭に迷わせて!! 何度子供の泣き声を聞けば気がすむんだ!!」
「………」
「俺は許さない。今さら、なんだっていうんだ!!」