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吼える月
第27章 再来
 

――お母さん、お父さんってどんな人だったの?


「お前が言ったんだろう!! 俺はお前の子供ではない、母さんは妻ではないと!!」


――優しくて涙もろいひとよ。とても情に厚くて、身寄りの無い私に"仲間"と"シバ"をくれたの。


「オレには、父親はいない!!」



――私はあのひとの隣には立てなかった。だけどあのひとは私を愛してくれた。私に生きる"理由"をくれた。……それだけでいい。



「オレには、お前に連行されるのを拒んで自ら命を絶った、母親のソンファしかいない!!」



――シバ、可愛い私の子。父さんのように強く、優しく育ってね……。



 シバから怒りと共に放出された青い光が膨れ上がり、ジウの力を押しのけるようにして、船諸共に金色の光を消し去り、虚無の空間ができた。

 あったはずのものがない――、それはまるでシバの空虚な心。金を消し去っても、体からまだ消えぬ青の残像は、シバの凍てついた心。

 怒りの中にあったのは、父に拒まれたその時を凍らせたままの、シバの悲しみでもあった。


「オレには父親などいない!!」



 "おはようございます、父さん。今日も僕は"シバ"の名前を大切にします"

 "父さん、今日僕は母さんに褒められたよ。お空から見てる?"

 "ジウという名前が僕の父さん!!"

 "父さん、僕は父さんの姿を見たんだ"

 "父さん、早く僕に会いに来て!"

 "僕、お利口にしているから"

 "僕、母さんを守るから"


 母さんを守れない僕は、父さんには会えない……。



――これは、我が妻にも我が子供にもあらず!!



 父さんに会いたくて、頑張っていた僕はどうすればいい?



――いいか、シバ!! いつかジウに復讐してやるんだ。そのために強く生きろ。決して死にたいなんて思うな!!


 望まれていない子供だから、生き抜いてやる。

 ギルの支えで、ジウの恨みだけで生きてきたオレは――



「俺の前から消えろ!!」



 ジウに子供と言われて嬉しいなんて、そんな感傷あるはずがないだろう!!

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