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吼える月
第27章 再来
トウサンガムスコダトヨンデクレタ。
"父さんってどんな顔なのかな"
"父さんのように強く優しくなりたい"
トウサンガコドモダト……。
「オレはお前の子供なんかじゃない!!」
モシトウサンニアエタラ、ズットイイタカッタンダ。
"初めまして、僕はあなたの息子のシバです"
「オレの家族は、ギルだけだ!!」
"僕を……愛してくれますか?"
――これは、我が妻にも我が子供にもあらず!!
"僕は、父さんに会いたくてしかたがなかったんです"
――子供にもあらず!!
"父さんに会えて嬉しいです"
「オレの名前はシバ!! 姓は生まれつきあらず!!」
シバの目から流れた涙――。
激高したシバ自身それに気づくことがなく、そんな状態を知らしめたのは、別の声だった。
「なんで……、悲しいって顔で泣いているの?」
突然の声は、船に昇って来た――
「待って、いたんでしょう?」
……テオンだった。
ただし、寒いのか震えながら女の肩に担がれている。