この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第27章 再来

 
「シバ。子供は、親からどんなに縁を切られても、親への愛情は忘れられないものだよ? あ、ごめん。ちょっと降ろして。素直になれない駄々っ子は、同じ境遇だった僕が一番、理解できるはずだから」


 女は、テオンを肩から降ろした。


「だ、駄々っ子!?」


 シバが眉を急角度に曲げて憤慨した。


「そう、駄々っ子」


 顔色悪いテオンが、四つん這いになるようにしてシバの足元に寄る。



「そして、"やさぐれ"。なにも見えないことを知らずに、生かされていることを知らずに自分で不幸に酔っていた。……僕もね」

「テオン、お前……?」


「テオン様は、現祠官であられる」


 ジウは片膝をついてそう言うと、シバの目と口が大きく開かれた。


「子供で祠官!?」

「あはははは。シバ、僕は君よりずっと上だよ、こんな身形だけど。隠していてごめんね、君が武神将の息子だったように、僕は祠官の息子。青龍の力を持てずに父親に捨てられ、【海吾】に拾って貰った身の上さ。

そして父亡き後、僕がこの国を統べる決心をした。ああ、ジウ。そんな堅苦しくなくていいから。はい、普通に立って」

「御意」


「!!!???」


「なんだかいつも冷静な君のそういう反応を見るのが楽しいね。一体どこが一番驚いた要素なのか聞いて見たいけれど、そんな暇はないね。

シバ。もしも君とお母さんが、"遮煌"でジウに生かされていたらどうなっていたと思う?」

「え?」

「ジウにとって、私情で命令を遂行出来ないのは、青龍の武神将にとってはあってはならないこと。必ず、ジウの足枷になる。……それを、君のお母さんが望むと思う?」

「だったら母さんが、この男の名誉のために死んだというのか!?」

「それだけじゃないと思うよ?」


 テオンはジウを見た。


「親に捨てられた子供の生きる"力"となるのは、"怨恨"。ジウは、シバに自分を恨ませることで、親がいなくても生延びる力にしたんだと思う。……違う、ジウ?」

 ジウは返事の代わりに目を伏せた。

/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ