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吼える月
第27章 再来
「そんな……っ、じゃあ武神将をやめれば!!」
「やめても制裁は加えられる。ならば武神将の地位こそが、愛するソンファとシバを護れるものだと、私は今でも思っている。"光輝く者"はそれほどに特殊で、公然と虐げられている者達なのだ。それを守るには、力が必要だ」
迷い無い言葉に、シバは声を詰まらせた。
「シバ、倭陵にとって"光輝く者"という存在が忌まれているための、最大の防護でジウなりにソンファとシバを護っていたんだと思う」
まさか――、
ギルが配給していた物品は、ジウから出たものだったのか?
母の病気の状況を知っていると言うことは、煎じ薬も?
確かに、部下らしき兵士達が中に入ってきた時に、ジウは言っていた。
――これは、我が妻にも我が子供にもあらず!!
それに涙した母の心情が歓喜なら、頭を垂らして先に逝くことと自分のことをジウに託して、思うように動けなくなった病身がジウの枷にならぬようにと、自ら命を絶ったというのか。ジウは命に背いていないことを、周囲に見せつけて。
それによりシバはジウを恨み、それを糧に生き抜いた。
すべては、計算のうちだったというのか。
自分の悲しみも怨恨も、そのために植え付けられたというのか。
周りはすべて知っているのに、知らぬのは自分だけ。まるで道化ではないか。