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吼える月
第27章 再来
「まさか、これも……」
シバは足元の青龍刀を拾い上げる。
「ギルがオレにくれたこの刀も……」
――シバ、この二対の刀をやろう。これを振り回せるようになったら、きっとお前は強くなっている。
「左様。私が愛用していた青龍刀だ」
その言葉が終わるや否や、シバは暫く黙り込んだあと、ジウの喉もとに青龍刀の刃先を突きつけた。
「……それで、オレがお前に抱きついて喜ぶかと?」
シバは嘲笑うように冷たい顔つきで言い捨てる。
「ふざけるな!!
オレはお前を親とは認めない!!」
「シバ……」
テオンが顔を悲痛さに歪ませる。
「君は守られてきたんだよ?」
「テオン。お前が何者だろうと、お前はお前だ。前とは変わりがない。だが、もしもその男に言われてそんなことをほざくのなら、お前だって容赦しない。……このことは聞かなかったことにする」
「シバ!!」
「オレの恨みが、こんな僅かな時間でなんとかなるとでも思うのか?」
シバは冷淡な笑みを顔に浮かべて、鼻でせせら笑う。
「……なにが情に厚い? オレにとっては、この世で一番冷酷だ。そんな男の血を受け継いだのが忌まわしい」
シバは青龍刀を下に叩きつけた。
「ジウ、どうしよう……」
心配するテオンをよそに、シバの前でジウは大笑いをし始めた。
「それでよい。それでよいのだ、それでこそ安泰だ。それでこそ隠し場所になりえる。青龍の鍵の……」
「やはり、この男が青龍の鍵の要か」
その声は突然に。
シバの背後に立つのは――、
「ゲイ!?」
金色に光る男。
気配を悟れずにぎょっとした顔を向けるシバに、男――ゲイは、妖艶にも思える美しい笑みを返して惹き込むと、後ろから手を動かす。
「うっ!?」
シバの腹部に、男の手が貫いていた。