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吼える月
第27章 再来
「余を脅すか。それもまた一興、蛆虫の余興にのってやろう」
ゲイは超然とした笑みを見せ、シバから手を引き抜くと、ジウに向けて突き飛ばす。
「シバ、しっかりしろ、シバ!!」
ジウは刀を放り、力なくもたれかかるシバを抱きしめると、片手でぱしぱしとその頬を叩いたが、漏れる声はなく。
「シバ……くぅっ」
ジウは涙を堪え、シバの身体を両手でぎゅっと抱きしめた。
これが、ジウが初めて両腕で抱く、我が子の温もりだった。
……それも次第に冷たくなっていく――。
「さあ、言え。鍵は何処に!!」
「……っ」
ジウは無言でシバの命を繋ぎ止めようと、力を注ぐ。
「何処だ? 答えぬと、もうひと穴、その男の身体に開けようか。今度はどこがいい、頭か? あはははははは」
残虐な笑い声を聞きながら、ジウは目をつむり、唇を震わせた。
「さあ、答えよ!!」
ジウは目を見開くと同時に怒鳴った。
「それは、我が命なり!!」
ゲイが眉を顰める。
「もしお前が偽りを申して死んでしまったら、真実を誰も知る者がいないと、そういうことか?」
ジウはゲイの睥睨に冷や汗をかきながら、余裕めいた笑みを作る。
「左様。答えは我の中に。誰を殺しても答えは出まい。
さあ、私の命を取って青龍の鍵を手に入れてみよ。
私が真実を申していると思うのなら!!」
演技が出来ないジウだからこそ、そのまっすぐとした回答から迫真さを強める。
ジウの回答が、真実か否か――。
「さあ、私の中から青龍の鍵をとってみよ!!」
知るのは、口にしたジウのみ。