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吼える月
第27章 再来
「船は腐敗しないように作られている。だからそこは破けない。破けたところで、この船からは出られない」
背後から聞こえるその声に、四つん這い状態のユウナはぶるりと身を震わせる。
そして、ぎこちなく振り返る。
ユウナを見ている、光に包まれたその顔は――
「スンユ……」
美麗な顔をした男。
気品ある物腰で近づいてくる男。
――……餓鬼は、スンユだけを狙わねぇ。スンユに気をつけろよ?
ユウナの唇が小刻みに震撼した。
光に照らされて白銀に輝くその男――。
「……ではないわね?」
ユウナの言葉を受けて、男がゆったりと微笑む。
そしてすぐに、眩しいほどの笑みを消したその男は――、
「あいつを知っているのか」
煌めく銀色の髪をした、
「……ユウナ」
リュカだった。