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吼える月
第27章 再来
 

「怒るのなら、そのひとが同じ事をしたらにしてよ、貞操を守れって!!

それに!! あたしがたとえこの先、リュカではなく別の男に、サクに抱かれようが、サクを夫にしようが、それをリュカに詰られてとやかくいわれる筋合いはない!!」


 ユウナの喝破に、リュカの瞳が揺れた。

 色素の薄いその瞳は、はっきりとした動揺を示している。


 それが解せないユウナは、自分がまるでリュカを傷つけている悪者のように思えて、冗談じゃないと目を吊り上げて叫んだ。



「あたしを責めたいのなら、お父様を返してよ!!」


 爆ぜたように。

 
「あたしを、なにも知らずに婚姻の日を待っていた…あの時の、ただの姫に戻してよっ!!」



 ユウナが負った疵は、心だけではない。

 サクの前で他の男に破瓜されたことは、いずれサクと進む未来で問題になることがあるようにユウナは予感していた。

 たとえサクが許してくれようとも、愛するひとに最初を捧げられなかったのは、女としての欠陥品のように思えるのだ。


 それでもサクと生きると決めた。

 サクが救ってくれてそう思わせてくれたからだ。


 そのサクを――、


「あたし達があなた達に追われて、どんなに必死になってここまできたのかなにも知らないくせに!! サクはあたしを助けてくれたの、全力で!! そんなサクをいやらしい男のように言わないで!! あたしを、サクを!! 賤しい人間のように言わないで!!」


 侮辱することは許さない。


「あなたとは違う!!」

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