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吼える月
第27章 再来
   

「!!!」


 下着も破られ、晒された胸元。

 頂きがかろうじて服の残骸に覆われているものの、胸の殆どが露わになった。

 手を制されて動けないユウナは、食い入るように胸を見つめるリュカに、羞恥心を高めた。



「やだ、やめて……見ないでっ!!」


 リュカは魅惑的な白い豊丘に誘われたかのように、うっとりとした顔で、柔らかな乳房に強く吸い付いた。


「痛っ……!!」


 くっきりと咲いた赤い華。


「これできっとサクは、お前を軽蔑するだろう。

足を開けば心をも奪える、そんな安い女だと」


「!!!」


「否定するのなら、してみせろよ」


 リュカは超然とした笑みを浮かべ、ユウナを見ながら……、服ごと胸の頂きを口に含み、服に隠された蕾を引っ張った。

 サクによって拓かれていたユウナの身体は、本人の意志とは関係なく、突然の甘い刺激に歓喜の反応を見せる。


「ち、違うっ」

 
 質問してもいないのに自分で答えるユウナの、泣き出しそうな顔を見て、リュカはふっと笑う。

 そして片手で揉み込み、服の上から甘噛みを始めると、ユウナが悲鳴のような声を出して頭を振って暴れた。

 胸を愛撫しながら、リュカの手がユウナの下衣の中に入り、ユウナの内腿を摩りながら、その付け根に近づいてくる。



「やだ、やだよ、リュカ、リュカ!!」




――ごめん。婚儀が待ちきれなくて。



 あの時とは違うのだ。

 これは合意ではない。


 あの夜、凌辱された思い出が鮮明に蘇る。

 サクに見られていた、あの場面が脳裏に錯綜する。


「リュカやめて、やめて!!」


 それなのに、リュカを完全に拒絶出来ない。

 サクが好きなのに、リュカに惹かれた心が終わらない。


 あの夜からリュカに憎悪を向けられることで、ずっと泣き続けていた心の一部が、今この状況を錯覚するのだ。

 自分はリュカに愛されていると。

 自分を裏切ったあの夜は、本当はなかったのだと。


 わかっているのに。

 リュカには愛がないことをわかっているのに、心のどこかが騙されたいと思っている。

 もう苦しみたくないと叫んでいる。


 見て見ぬふりをし続けてきた、それも本当の心。

 サクが癒やしきれない傷は、まだ残っている。


 それをユウナは思い知る。
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