この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第28章 企図
 

「来てくれてありがとう」



 いつものように。

 サクにとびきりの笑みを向けて。


 乱れたその姿は、明らかになにかあったと告げているものだが、その恐怖一切を払拭して、何事もなかったというように、ユウナは笑う。

 ただひたすら、会えて嬉しいと笑い続ける。


 だからサクは、なにも言わずに上着を脱いでユウナに着せる。


「……チビと、後方から逃げて下さい。時間稼ぎします」

「危険だわ」



「姫様、俺には"殺されない"自信があります」



 語気を強めたサクの声にゲイの眉が跳ね上がった。

 リュカが温度のない瞳を、サクに向ける。


 サクとリュカ――。

 言葉のない視線を交わし合うふたりは、なにを相手から感じ取ったのか。


 先にそらしたのはサク。

 僅かに顔を綻ばせながら、サクはそのままゲイに向き、視線に強い憎悪を込めた。

 
「今までも、神出鬼没の"分身"と戦わされていたようですし、俺には色々と恨みがあるんですよ。時間稼ぎとは言え・・…」


 
 シバの青龍刀を握り、サクのその目は憎悪の頂点、殺気がよぎっていた。



「その礼をさせて貰います。……色々とね」



 サクがゲイに斬りかかった。



「ユウナちゃん、早く行こう!!」


 ユエがユウナの腕を掴んで走り出す。


「だけどサクが!!」


「サクちゃんは、"待って"いるの。そこにユウナちゃんがくっついていれば、計画は台無しになってしまう」

「……っ」

「信じてあげて!! ゲイは、サクちゃんを絶対に殺せないと!!」


「ユエちゃんはなにを知っているの!?」


「それは後の話。さあ、早く!!」



 ユウナは唇を引き結び、


「サク、待っているわよ!!」


 激励するように大声を上げた。


「了解です!!」



 この元気な声に、ユウナは胸を不安に震わせながら、後にした。

/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ