この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第28章 企図
 

 受け止めるようにしてそれ以上のユマの動きを封じたサクは、首にかみつけずにガチガチと歯を鳴らすユマに、きっぱりと言う。


――俺は、姫様を守って、姫様に惚れて貰えるような武神将になる。そのためにこの命を捧げた。だからお前を……守ってはやれないんだ。

――お前の望むものを与えられない俺を、恨むなら恨め。だが、自分を貶めるな。ユマ、お前の心を取り戻せ。戦え!

 
 ユマから流れた涙を思い出しながら、サクは声に怒気を含ませる。


「両方だ。"見て"、"聞いた"」


 ゲイは高らかに笑う。


「それは難儀だったな、サクよ。自分を慕う女が、お前が愛する女と同じ顔だったゆえに、好いてもいない男の妻となり、それとはまた別の男に骨の髄までしゃぶられているとは。余の精を浴び、煌めくような白い肌をしていただろう。その"美しさ"に、興奮して吐精したくなったか?」

「……ふざけんな!」

「ほほう、お前が"素振り"を見せたために、妻になれると思い込んだ哀れな女が、ここまで堕ちたのはだれのせいだ? 余のせいか?」


 サクは険しい目を向けて、ぎりぎりと歯軋りをした。


「あの娘は姫の代替。あの娘を助ければ、姫に魔の手が伸びるぞ?」

「それで……、それでいいのかよ、リュカ!!」


 サクの声はゲイを飛び越して、その後方にいるリュカに向けられる。


「俺の妹のような幼馴染みを、お前が好きでもない女を!! この男に捧げるために妻にして。それで姫様が、俺が! なにも思わないと本気で思ってんのか!?」


 リュカは目を伏せていた。


「お前に"誇り"はどこにあるんだ!? 祠官を殺してその地位を奪い、姫様を穢して呪いをかけて!! それがお前の望む"幸せ"なのか!?」


「無駄だ、リュカは余の傀儡。余の"願い"を実現させるために、余に全てを捧げた。今のリュカはその心は、怨恨以外は虚無」

「リュカの心になにもねぇって? ……それこそふざけんな」


 サクは青龍刀をゲイに向けた。
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ