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吼える月
第29章 変現
  
 再会の登場の仕方が、あまりに奇抜すぎて呆気にとられているジウは、今なにをする気だったのかも忘れてかけたが、すぐユウナの行動を理解した。

 ユウナは、ヒソクを助けようとしているのだと。
 

「させるか!!」



 ゲイが動き、金色の光が走る。



「ユウナ姫、逃げよ――!!」


 ヒソクに触れる手前でユウナをぶら下げた鷹は、ひらりと軽く躱した。

 舌打ちするゲイが二弾、三弾を放とうとしている時、



「きゃはははははは!!」


 甲高い子供の声に気を取られ、そちらに光を飛ばす。



「テオン――っ!!」



 今度は別方向からの声。


 邪魔は許さないとそのどれもに光を走らせるが、鷹は心得ているとばかりに、難なく回避してしまう。


 さらには――。


「おーい、金色男!!」

「ばーか、ばーか!!」


 囮組の意志を受け、違う鷹がわざとゲイの癇に障るように、自由気儘にひらひらと飛び、ゲイの攻撃はあたらない。

 子供達は鷹を信頼しているだけで気楽だが、信頼されている鷹は、挑発によって来る攻撃をよけようと、その目を血走らせ、命懸けで飛んでいる。

 危険でも協力をやめようとはせず、鷹も一員となってこの場を皆で乗り切ろうとしていた。


 子供達の思惑通り、ゲイは苛立ちに囚われ、正確さよりも力で威嚇するような荒い動きに変わっていく。……煩い蠅を追い払うように。



「武神将!!」


 旋回するようにして、警備兵が現れる。


「く……次から次へと……っ」


 次々に飛ぶ金の光。

 だがそれもあたることがなく。




「ジウ殿~!! ヒソク殿、捕まえたわ!!」



 嬉しそうなユウナの声に、忌々しげな顔をしたゲイが両手の光を放った隙に、イルヒはテオンを連れて飛び立った。
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