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吼える月
第29章 変現
 

 ジウが凄まじいのは、闘志と貫禄だけではない。

 シバが落としていた……かつての自分の青龍刀を手にしてゲイに振り落とす。


 びゆんっ。


 空気が割れたかのように、重い音が響く。

 対象を捉えられはしなかったが、足元に大きな陥没が出来た。

 ひと振りなのに、ふたつ分の陥没――。


 巨漢ゆえに力強く、巨漢なのに素早く動く。


 ゲイとジウの戦いは、常人の目に追いつかないほどになっていたが、攻撃に転じられないほど猛攻を受けているゲイより、ハン相手に戦い慣れているジウには余裕があった。

 青龍刀に青龍の力を漲(みなぎ)らせて、付加的な神気を纏えば、すれすれでよけるゲイの速度が落ち、神獣の力を怖れているような様子にジウは思えた。

 そして、シバが空高く持ち上げられた時、青龍刀がジウの頬の表皮を裂いて、その長い金髪を数束斬り落とした。


「余に……許さぬ!!」


 金色の光を四方八方に迸(ほとばし)らせたゲイの速度が一段と上がり、追いつけないジウから、青龍刀を大きく後方に放った。

 武器を持たないふたり。

 その身に宿す力は、ゲイの方が遙かに上だ。


 またジウが吼える。


 そして、ふたりが動き、力と力が衝突し――。



「これで終わりだ」



 勝者はジウ。己の苛立ちと怒りしかないゲイよりも、愛する者達のたくさんの想いを背負って冷静沈着だったゲイの闘志の方が、勝っていたのだ。


 怪力の持ち主のジウが、ゲイの喉もとを片手で掴んで持ち上げた。

 圧力をかけた指先が、ゲイの喉に深く食い込んでいく。



「ぐ……ぅっ」



 呻きながら、ゲイが紫色に変わりゆく手を金色に染め始める。


 ジウの手がゲイの首を砕くのが先か、苦し紛れのゲイが光でジウの胸を貫くのが先か――。


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