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吼える月
第29章 変現
突然、ジウの手の中のゲイが消えた。
「!!!?」
変わって現れたのは、声。
「余の分身は、非力さが見苦しく余が消した。
さあ、武神将。余に言うがよい。
鍵の在処は何処に?」
消えたはずのゲイが、宙に浮かんでいた。
「分身!? あれだけの力があって本物では無いのか!?」
だがジウには、それも許容できるものだった。
ハンが死んだのに、自分が生きていられるわけはないと。
驚いたのは、それだけではなかった。
「さあ、ジウ殿。鍵の在処を話してくれ」
なぜかサクが、その横に現れたのだ。
その斜め後ろには……昏い瞳を持つ銀髪のスンユ……否、それがリュカという名の者だろうとジウは推測した。
これは蒼陵の問題だからと、今まで鍵の在処など聞いてこなかったサクが、なぜそんなことを言うのか。
ユウナを盾に脅されているのだろうか。
ジウにはサクが、ゲイ側についたとは思えなかった。
「ジウ殿、本当のことを言えよ」
その割には、ゆったりと笑い、余裕に満ちた物言い。
サク殿は私になにを求めているのだ――?
サクの真意がわからぬジウは、、困惑の表情を顔に浮かべた。