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吼える月
第29章 変現
「お前、ワシか!?」
ぴぇぇぇぇぇぇぇ!!
サクと会話が成り立っているらしい。
サクを助けたいという意気込みは、鳥の沽券によるものか。
ぴぃぃぃぃぃぃぃっ!!
最後、声の質がなんだか変わったように思えたが、その鳥は凄まじい早さで金色の光をよけながら、サクを背に乗せることに成功した。
ユウナは思わず、パチパチと拍手をしてしまった。
「くそぅくそぅっ!ならば、青龍の鍵を聞き出して……青龍が目覚める前に、この国を滅ぼしてやる!!」
ゲイが逆上して、サクではなくジウに向かった。
「お前達に、神獣の加護もジョウガの加護などない! 幻想を棄てて、余に平伏せ! ジョウガの箱を開く余こそ、お前達が崇めるに相応しい!」
……その時だ。
目が眩むほどに海が光輝き、景色から色が消えたのは。
そして――。
「……蒼陵を滅ぼしはさせぬ」
次第に色を戻す景色の中で、発せられたその声は――、
ここにいるはずはない者のものだった。
ユウナはそれを何度も聞いている。
だからこそ、涙が出た。