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吼える月
第29章 変現
「青龍! これを見よ!」
強い語気の声を響かせたのは、リュカ。
ユウナは目を開いて、声の方向を見る。
「青龍の武神将を見殺しにする気か!?」
ジウの背後に回り、その首に腕を巻き付けて固め、刃物を突きつけているのがわかった。
ジウは油断していたのだろうか。
「ジウ殿!!」
ユウナとサクは同時に叫んだ。
「青龍、ジウ殿を……あれ、消えた?」
ギルに降臨した青龍は、ジウを助けるではなく、その場からふっと消え、そして次に現れたのは――、シバを抱える警備兵の元だった。
「我はこの者を器にする代わりに、約束したのだ」
警備兵からシバを受け取るギルは、シバに青い光を注いでいく。
「"可愛い甥を必ず助けよ"と」
「ん……」
すぐにシバが目覚めた。
驚いた顔をして周りをきょろきょろしていたが、傍に居る者の顔を見ると、歓喜の声を上げた。
「ギル!! よかった、よかった……無事で!」
「よっしゃあああああ!! うまくいった!!」
拳を力強く突き上げ、雄叫びのように叫んだのは、サクだった。
「これでギルもシバも復活! さあ、ジウ殿!! 反撃の開始だ!!」
「了解だ、サク殿!!」
それまでおとなしかったジウは咆哮し、リュカを背負い投げた。