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吼える月
第29章 変現
 


「方法……あるかも」


 テオンが呟いた。


「だって、お父さんはお兄さんのお母さんを見初めたんでしょう? それはどこで?」


「それは、緋陵で開催された武闘大会で、親父がお袋と戦って……あ! そういえばこの時期、今度は緋陵で開催されるはずだ!」


「サク殿。倭陵の危機を緋陵が知らずにいるのなら、大会の準備がなされているはず。だとすれば、例外的に間接にだが女人禁制ではなくなる……」


「武闘大会は、当日の飛び入り参加は出来るよな。仮に武闘大会が中止になっても、知らなかったととぼけるか。武闘大会が開かれる日は……あ、ジウ殿は知らないよな、隠遁生活していたんだから」

「えっと……、確か今日から7日後のはずだ」

「なんでテオンが知ってる!?」

「情報が集まる【海吾】をなめないでよ」

「つまり、祠官にいくはずの手紙を横取りしたということか?」

「まあそれはおいておいて」


 さらりと横に流して、テオンは言う。


「心配だなあ……お兄さん馬鹿だし、他国の知識あまりないから」


 しみじみと言われ、サクはむくれる。


「俺の頭の中には、親父とイタ公が詰め込んだ知識で一杯だ! それにお袋から緋陵のことを聞いている!」

「どんなに知識があっても、必要な時に引き出せないと意味ないよ?」


 サク以外、誰もが頷く。

 そして口を開いたのは、青龍。


「テオン、汝がついていくがよい」
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