この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第29章 変現
 


 この月の色は、あの夜から始まった――。


 最初は毒々しくて気持ち悪かったのに、連夜この月の色を見ていたら、最初からこの色が本当の月の色のような錯覚を起こしてしまう。

 どんな禍々しさも、時間が解決するというのだろうか。

 
 戦いの後、リュカはどうしたのだろう。


 ゲイが消えた後、サクが浮島まで探しに行ったが、リュカは見つからなかったという。死体も出ていないらしいから、生延びてはいるだろう。


 どうしてもリュカの行方が気になってしまうのだ。父親を殺され、淫らなことをさせられ、そしてまた再会したら犯されそうになっても。

 住民ごと浮島を爆破しようとした残忍な者を、昔のように心配してしまう自分の甘さが嘆かわしいと思いながら。


 だが、こうも思う。


 リュカが死んでしまったのなら、自分にかけられている穢禍術というものは消えるはずだと。


 もし本当に、リュカが呪詛をかけ直していたのだとしたら、サクに気持ちを伝えられる。サクがまた命を張って、自分にかけられた呪詛の効果を薄めないといけないこともない――。


「………。いけないわ、こんな考え方……。まだ呪詛もかけ直されているのかもわからないのに……」


 憎みたいのに憎みきれないリュカ。


 不可解なものとして記憶に残ったのは、突然髪を切ったことだ。


 なぜ、あの時あの場で、自分を殺さずに、髪を切らねばならなかったのか。


――それが……"代償"だ!


 そしてリュカがかけた穢禍術は、なにの代償だというのか。


「まさか、髪を切ること……のはずはないわよね」


 リュカが愚鈍な男ならまだしも、頭の切れる男なのだ。

 その男の考えを、ユウナは推し量ることは出来なかった。


 昔も今も。
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ