この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第29章 変現
「サクが居るって言っているのよ!?」
泣きそうな声を出す恋愛初心者その1は、打開策が見つからず、やや高飛車気味に力任せに押し切ろうとすが、恋愛初心者その2がそれを察することが出来るはずがなく、当然というべきか…あさっての方向に捉えている。
「何度も言わなくとも、わかっていますって。どうせそんなこと言い出したのも、頑張った褒美だというんでしょう? ……ありがとうございます。へへっ」
その意味はその意味で、十分サクは嬉しそうだが、ユウナはそれに納得いかない。伝えたいのだ。今までと違う想いがあることを。
そこで痺れを切らしたユウナは、思わず言ってしまった。
「あたしはサクが好きなの!」
言ってからはっとした。
避けねばならない、禁句を口にしてしまったのだから。
心臓が早鐘を打つ。
色々な意味でのドキドキが止まらない。
「……っ?」
やはり今回も、身体に何も変化はないようだ。
想いを伝えられないようにさせるための、リュカの意地悪だったのだと思ったユウナは、顔をぱっと明るくさせた。
呪詛の効果に脅かされることはないのだ!
だとしたら――。
反応を待つべきものは、サクの反応だけだ。
いくらサクが馬鹿だとしても、今度は曲がって捉えることが出来ようはずもない、単刀直入の…まっすぐ、そのままの告白。
さあ、サク……どんな反応をする?
驚く? 喜ぶ? それとも……。
緊張の一瞬。