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吼える月
第29章 変現
サクは、心に喝を入れて浄化の呪文を唱える。ユウナの締め付けを堪えて、意識を客観的なものに変える努力をすれば、サクの身体に神気が巡り……サクの肉棒が熱くなる。
「サク……っ、好きなのっ!!」
鎮呪の体勢に入ったサクの様子を察したのか、哀切な声が聞こえてくる。
それはサクが心から欲しかった言葉だ。
だからこそ、ありえない事態に、一層虚しくもなる。
サクはぎゅっと強く目を瞑り、一心不乱に呪文を唱えながら、両手でユウナの手を自分の首にかけさせた。
「姫様……、治療に入ります」
サクが惑った様子を見せず、神気を纏っているのに気づき、紫の瞳が怯えたように揺れた。
「これは……愛の行為ではありません」
ユウナの両足を腰に纏ったまま、ユウナを揺さぶるように抽送を開始した。
苦しげに顔を歪めさせたのは、自らの言葉のためか、それとも……一度引いて、再びずんと押し入れた肉棒への刺激に耐えるためか。
潤った蜜壷からは、サクのゆっくりとした抽送によって、蜜がくぷくぷと溢れ出ていた。
ユウナは、質量を増したままのサクの一部を美味そうに咥えては、消える存在を離すまいと、襞をざわめかせてきゅうきゅうと収縮してサクの肉棒を捕まえようとする。
その吸引力にもっていかれそうになりながら、サクは魔の手から逃れる為に、腰の振りを大きく強くしていく。
ユウナがサクの動きを止めようと、喉に噛みつこうとする。
ユマならば力で押しのけたサクだったが、ユウナには抵抗をみせず、わざと噛みつかせた。頸動脈から血が軽く噴き出したのを手当をしようともしないサクに、ユウナが怯んだ表情を見せた時、サクはさらに深く強く貫く。
「はっ、はっ、サ…ク、一緒に……あん、あああっ、奥まで来るっ!」
ふたりの距離は至近だというのに、もっと抱きしめ合って、愛を高めることが出来るというのに、サクは恋心よりも機械的な接し方をした。
「サク、サク、一緒に……あたしの中に……っ」
心が交わらない相手が、大きく揺さぶられながら必死に叫ぶ。
「俺が……愛して抱きたいのは、お前じゃねぇんだ」
サクの顔に掛かる髪先が、汗に濡れながら揺れた。