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吼える月
第29章 変現

 
 サク、サク――。

 ごめんなさい、あなたに……伝えたかったのに。

 ……伝えたい? なにを?


 そして――。
 

「っ!?」



 馴染みある自分の身体に戻った途端、襲ってくるのは目まぐるしい快感。

 果てる寸前の、上り詰めた感覚。



「あああああああっ、サク、サク――っ」



――生涯覚えておけ、僕の名を。さあ、言え、僕は誰だ!?



「ユウナ……戻ってきた!」



 愛おしそうに見つめる熱い眼差しに、共振する自分を感じながらも、それはユウナから次第に薄れていく。


 同時に強まるのは、怒濤のような官能の波。

 巻き込まれ、飲まれていく。


 消えて行く様々な感情の中で、リュカだけが残る。



――お前を心から憎悪している男は誰だ!?



 リュカへの悲しみと恐怖が。

 サクへの愛情と反比例に増していく。

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