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吼える月
第31章 旅路 ~第三部 朱雀の章~
「ああ腹立ちますね~。俺がこんなに姫様を想っているのに、俺が姫様を嫌ってる!? 嫌えるくらいの想いなら、とうのとっくに姫様を嫌ってますよ!」
サクは苛立たしげに、ユウナの頬を摘まんだ。
「いひゃ……「おかしなことを言う口はこれですか! "治療"で姫様の身体が気持ち悪いと俺が思ったって!? 女として思えなくなったって!? 俺が姫様の気持ちよすぎる身体で果てるのをどんなに我慢して、"治療"していたのか知らずに。ああ、腹が立つな~、この口め!」
サクは、摘まんだ頬を抓った。
「いひゃひゃ、サヒュいひゃ「俺が姫様に告白したのはなかったことにされてるんですか!? それほど、リュカが好きでたまらないんですか!? リュカに会ったから!? リュカに助けられて、また愛がぶり返したんですか!?」
「なんれリュヒャ「リュカ!? ああ、やっぱり! ああくそっ! 現実を思い知らされるから、だから俺…、今は姫様の傍に居たくなかったのに!」
「サヒュがリュヒャのころを「まだ言うんですか、この口! この口はリュカしか言えないんですか!?」
「いひゃひゃひゃひゃ!」
そしてサクは、ユウナの頭を抱きしめて、やるせなさそうなため息をついた。
「……言いたくなかったのに……。リュカの名前……姫様の口から聞きたくなかったのに……」
「勝手に言ってるのは、サクでしょう!?」
ユウナはぜぇぜぇと息をしながら文句を言った。