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吼える月
第31章 旅路 ~第三部 朱雀の章~
サクの事情を察せられず、サクと一緒に居たいだけの心をぶつける……聞き分けのないユウナに、サクはほとほと困ったようなため息をついて言った。
「俺がまだ寝るつもりがないなら、姫様も寝ないということですね」
「そうよ!」
「そこまで俺と一緒にいたいということですね?」
「そ、そう……よ」
抑揚を無くして語るサクの言葉に、ユウナは少し狼狽え気味に考え込みながらも、サクの言葉は間違っていないと悟ってなんとなく気恥ずかしく、口ごもりながら答えた。
「姫様、目覚めたら俺に傍にいて欲しいんですよね?」
「そうよ!」
それは何度も訴えていた真実のことだから、元気よく答えた。
「俺は、離れてちゃいけねぇんですよね?」
「そう! サク、何度も確認しなくても……ん、えええ!?」
ユウナが声を上げたのは、ユウナの身体が浮いたからである。
音をたてずにユウナの背中に回ったサクが、ユウナの身体を抱えるようにして中に浮かせ、そしてそのまま……岩に座った自分の膝の上に、ユウナを後ろ向きに乗せたのだった。
「じゃあ、朝まで俺とくっついていましょう、姫様」
サクはユウナの耳元にわざと囁き、
「俺が、眠たくなるまで」
自分の身体でユウナをすっぽりと包み込むようにして、彼女の腹のあたりで手を巻き付かせた。
サクの逞しい身体の熱を身体全体で感じたユウナは、身体が覚えているサクとの淫らな睦み合いを思い出し、真っ赤になりながら逃げようとするが、サクの手が離さない。
「姫様。まさか逃げようとしてませんよね? 俺を近くに望んでいて、俺から離れようとしなかったのに」
そう言われると、ユウナもバツの悪そうな顔となりながらも、売られた喧嘩とばかりに乗ってしまう。
「そうよ、逃げようとなんてしないわ! サクじゃあるまいし!」
「……へぇ、言いますね、姫様。だけどそういう強がりを見て、俺がどう思っているか、姫様はわかります?」
「わかるわよ! どうせ、可愛げのない姫だと……んんっ、ぁははぁあっ」
夜の静寂の中に響く、ユウナの甘やかな細い声。
そして唾液たっぷりに、耳を口淫する音。
「ちょ、サク……はぁぁぁっ、サクっ」
サクがユウナの耳殻に舌先を這わせ、ユウナの耳朶をくちゅくちゅと甘噛みしていたのだ。