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吼える月
第31章 旅路 ~第三部 朱雀の章~
ユウナは、サクの唇の感触を感じて目を見開いた。
なにをされているのか気づき、さらに目を大きくさせた。
その視線をサクは丸ごと受け、自分を受け入れて欲しいと強く訴えたその目を細めながら、ユウナの手に指を絡ませて握った。
そしてユウナの枕にしている反対の手は、ユウナの銀の髪を優しくまさぐる。
布があるのに、唇が熱い。
そしてその熱が全身に拡散して、蒸発してしまいそうだと、ユウナは思った。
睦み合いをした時に、唇をせがんだらサクに却下されたことを思い出す。そのサクが布越しとはいえ口づけてきたのに、ユウナの身体は歓喜にも似た甘い刺激に痺れていった。
嫌では無かった。
むしろ、布があるのがもどかしく思うほど、ユウナは戸惑いを超えて、サクの情熱を心地よく思っていた。
……リュカに対しては、反発めいて受け入れられなかったのを、思い出しながら、サクには身を任せられるはなぜかとユウナは思う。
サクなら、最初から身体を捧げてもいいと思った。あるのはただ、照れくさいのと女としての羞恥心だけで。
なにか……自分の中に存在しているのに、その輪郭が見えない。
その輪郭を明瞭にさせようと、中のものがとくとくと脈動して温度を上げて成長しているのをユウナは感じた。
サクの匂いとサクの力強さに絆されたように、胸の中に溶岩のような灼熱のものがどろりと流れて、今にも身体の外に流れ出てきそうだった。
だがそれが上手く流れ出ないのが、苦しみを伴う。
不明瞭な輪郭の中、中身だけが破裂しそうなほど熱く膨らみ、いつ破裂するのかと危機的な焦慮感をユウナにもたらしていく。