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吼える月
第6章 変幻
「……ぁ……んんっ、んっ……ぁぁああっ」
「……ひめ……さ、ま……」
互いの乱れた吐息が、至近距離で顔にかかる。
同時にサクの指の動きも深く大きなものとなり、1本から2本に増えて激しさを増したことを、ユウナは知らず。そこまでする予定もなかったサクを煽ったのは、彼女の扇情的な表情だということも知らない。
ユウナが乱れれば乱れる程、それを見つめるサクの面差しが切なげなものとなり、口を開く余裕を失っていった。
「……サク、ああ……サク、あたし……」
「……。いいですよ、姫様……俺でイッて下さい」
「イク……?」
「そう。憂い事のない、幸せな世界へです」
「ん……はぁぁああんっ、そこに……サクは……サクはいるの?」
サクは悲しげに微笑んだ。
「俺は……こちら側にいます。イクのは……姫様だけ」
「や、それは嫌。サクが……サクも一緒じゃないと……サク、サク……っ」
絡み合う熱を帯びたふたりの双眸が、互いの熱を吸収し合いたいかのように蕩けて潤んでいけば、互いの半開きになった唇が自然と近づきあう。
「俺は、見送る係です」
だが触れあうことを拒否したのはサク。
「サク……ねぇ……んっ…」
与えられる刺激により、頭が朦朧としているユウナは、サクと唇を重ねたいというように、唇を突き出してねだった。
「それは駄目です」
「サク……っ、口も……汚れたの。だから……っ」
「駄目です」
「あ、ああああっ、サク、ねぇ……サクっ!!」
「唇を重ねれば……俺が我慢出来なくなります。
ただの従僕だということを忘れてしまう」
果ての近いユウナを押し上げながら、サクはただユウナの頬に自分の頬を擦るだけに留めて、泣きそうな声で言った。
「姫様にとっては洗浄でも……俺にとっては……っ」
「サク、サク……なにか……っ、クるの……サク、サク一緒にっ!!」
「どんなに一緒に果てたくても、俺は……っ」
「サク、一緒に来て。サク、離れないで。ずっと一緒に、は……っ、ああ、ああ、嫌、嫌……サクと一緒じゃなきゃ嫌……っ」
さらに激しくなるサクの抽送。
「ずっと一緒は……叶わない望みになりました。だから俺は……っ、姫様が! 俺がいなくても姫様が幸せになれるのならっ」
「サク、サク――っ!!」