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吼える月
第34章 連携
「蒼陵の童歌はどんなのかしら?」
「今度テオンとシバにも聞いてみましょう。……なんだか俺、青龍も白虎も、似たような微妙な歌詞のように思えるんですけどね。神獣の情緒って人間と違うことだけはわかった気がするので」
サクが額を片手で覆うと、ユウナがラクダを見つめて言った。
「ラックーちゃんのお歌は、とてもお上手だとは思うけれど、そのお歌はどういう意味なのかしら? 親しみやすくとか称えて、というより、あたしには謎めいて聞こえたの」
ユウナがラクダを見つめて、単刀直入に聞いた。
『我の賛歌ではなく、我と嘆願者だけがわかる"ある法則"を内容にして、歌わせたのだ』
「その法則ってなんだ?」
腕組をしたサクが尋ねれば、ラクダは面目なさそうに顔を下げた。
『……だから忘れてしまったのだ、我が作った歌は覚えておるのに』
項垂れるラクダの前でサクがガシガシと頭を掻いて言った。
「なんでそんな七面倒なものにしたんだよ。歌を歌ったら、即意味がわかるとかでもいいじゃねぇか! お前神獣なんだろう? なんで人間のように、無駄なことしてんだ!」
『言ったろう、白虎に対抗したのだ。白虎は自らが一番の知恵者で、白虎の白陵の民が4国で一番賢いと、いつも呈しておるから、我とて我が民ともに賢しいことを……』
「ああ、確かお前白虎と仲が悪かったな、イタ公が制止に来てたんだったよな。……だからって、作った本人が、後でわからなくなってどうすんだよ! もしあの文字がお前が作ったものに沿って描かれていたのだとしたら、完全にお前よりあの文字を彫ったヨンガら緋陵の民の方が賢いっていうことじゃねぇか。それでお前、白虎より賢いといえるのか!?」
『ぐぬ……』
ラクダは返す言葉もないようだ。悲嘆なのか自噴なのか、喉奥と鼻の穴からおかしな音が出ている。