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吼える月
第34章 連携
「待てよ? ラックーがわからないなら、自称知恵者白虎なら、あの神獣文字になにが書かれているのかわかるかな。白虎の応答なくても、白陵の民が一番賢しいならわかるかもしれねぇ。今から白陵に行ったとしたら……」
するとラクダは、ぶへぇぇぇぇ!と威嚇のように鳴いた。
『否、否否否! 白虎に連なる者の手助けなどは許さぬ! これは我の問題! 我が責任を持って解く!』
勇ましく言い放つラクダに、なにやら考え込んでいたユウナが言った。
「なにもラックーちゃんだけが、解く責任を負うことはないと思うわ。それにね、サク。ラックーちゃんが出した問題を緋陵の民が解けたのだとしたら、あたし達黒陵の民だって解けるはずじゃない?
四神獣は概ね同等だと、女神ジョウガがそう采配して、4国を守護させたのだと、あたしは昔お父様から習ったわ。そりゃあ神獣に個人差はあると思うけれど、イタ公ちゃんは愚かな神獣ではないわ、そうでしょう、ラックー」
『……然り。玄武は頑固だが、決して愚かではない』
「でしょう? 今はあたしとサクがイタ公ちゃん代理なんだから、イタ公ちゃんに代わって、これを解いてみせるわ! そうじゃないとイタ公ちゃんが目覚めたら、怒られちゃうもの。それにね、あたしこういうの大好きなの!」
ユウナが、イタチを撫でながら胸を張って、目を輝かせた。
「……姫様、やる気あるところに水を差すようで悪ぃですが……」
「これを突破出来たら、サクもお馬鹿さんを卒業できると思うわ。そうしたらハンのように、優れた武神将に「やりましょう!」」
それまでやる気がなかったサクが、ユウナの煽りに俄然やる気を出した。
『……あの頑固な玄武が選んだ武神将は、姫の言葉に影響を受ける単純な者とはのぅ……』
「黙れ! 俺はやるとなったらやるんだよ、やらなきゃ進めないなら、なんだってやってやる! まずはラックー、あそこに書かれている神獣文字とやら。意味をなさないものだとしても、なんと書かれているんだ? もしかしたらそこから、あの歌がなにを意味しているのか紐解けるかもしれねぇ」
「歌からではなく、書かれているところからなにか手がかりを見つけようというのね?」
「そうです。まずは、歌によっての変換後、結果から見てみたい」