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吼える月
第34章 連携
石の棺らしきものに刻まれていた神獣文字を、ラクダが訳した。
『りしせさうどつよめいろむむきがわしけかにつべよしれらぶやがあがあしてくかによきめみしとみがかじうふにうよりちでちがわめいらみよれわめとこあれらとさにりかちきしあいらよりとでみがかをらかきむじあなりよみがかてあがあしでちむいがわよねよるないだい』
地に指で書き取るユウナ。それをサクは文句を言わずに真剣にじっと見つめ、目を瞑り悩ましい顔をして考え込む。
「まるで意味をなしていないわね。なにか同じ文字を抜かせとかいうのかしら」
『いや、我はそんな単純なことはせぬ』
「それなら文字の並びになにかあるのかしら。あ、ここ……同じ並びが、3つ出てるわ、見て!」
喜んだユウナが指で示したのは、"みがか"だった。
「みがか? なにかしら……」
悩めるユウナの横で、サクが言った。
「かがみ、でしょうね。だとすればやはり、この文字列は逆さまでの順が妥当だと思います。最後の五文字を逆さまにして下さい」
るないだい
↓
いだいなる
「朱雀の力を借りたいような言葉であるのなら、最初に朱雀を称える言葉がきて当然だと思ったんです」
「でも"いだいなるよねよ"って、なにかしら……」
「その"よね"、もしくは"よねよ"が朱雀に相当するのかもしれません。黒陵でも玄武に捧げる祈願文に、"偉大なる玄武よ"というのがありますから。それでいけば、"よね"が朱雀という意味で、"よ"が呼びかけかも」
「逆さま……か」
「が、逆さまでも、意味が通るところと通らないところがあります」