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吼える月
第34章 連携
『すざくのはねはうらおもて わがくにはかがみとなりかがみはわがくにとなる わがちからはみずにおおわれ みずはちとなす すなわちわがちからほかにおよばず わがちからもちとなすが もとよりちはきとなす
われのごうかによりてきぎのはきよにかくれ、ねむりもまたやみにきゆ。たはし のはむとなり なんじらのすはわがてにおちる
わがおはめとなり わがあたまはおにむくが、しゅうえんはかいしとなる』
『な、なんと……正解だ』
「だから、俺、そこまで馬鹿じゃねぇよ。ね、姫様。こんなの覚えるくらい楽勝ですよね? 玄武の国生まれ、馬鹿ではねぇことを証明しねぇと!」
「そ、そうね……」
覚えられなかったユウナは、曖昧に笑い、挽回しようと内心焦る。
「ええと、その歌にはきっと、逆さまに読みなさいということが書かれていると思うの。反対という意味があるのは、"裏表"、"鏡"、そして最後の一文、"我が尾は目となり、我の頭は尾に向くが、しゅうえんは開始となる"」
「ああ、確かに。だけど、しつこすぎやしませんかね? ラックー、お前反対にしてくれと、三回以上も言う奴か?」
『否、我はそこばかりを強調せず、まんべんなく作ったような気がするのだ。そこだけ強調せば、すぐにわかってしまうだろうゆえに』
「じゃあ、似たようなことを言っているこの三つの部分は、それぞれ違うことを意味していると考えた方がいいわね。
全体に意味が通っている文ではないわ。だったら、この文にしたことに意味があると思うの」
そしてユウナは、サクが書いたラクダの歌を見て言った。
「朱雀の力は火の力よ。我が国は緋陵のことね。地だの水だのは相克とかを示していると思う。ハンが教えてくれたわ」
――姫さん。神獣はすべて平等だと思ってろ。だとすれば、秀でた力はねぇ。玄武の力とて、得手不得手があり、それは他の力もそうだ。神獣にとっては結局どれが一番強いなんてねぇ。まあ俺ら武神将にとって強さとは、保有している力をどれだけ多く行使できるか、で決まるだろうがな。