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吼える月
第34章 連携
サクの前で、大きなラクダが申し訳なさそうに座り込む。
「悪ぃと思っているなら、早く朱雀に戻れるように頑張ってくれよ。最低限、ここを突破しねぇと。この文字が緋陵の変貌と関係ないのならそれでもいい。だけど関係があるのなら、そこから攻めねぇと突破口がねぇんだ」
ラクダは賛同したように、ぶへぇぇぇと元気のない声で返事をした。
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「石に刻まれているものを逆にしたものだけれど……」
『いだいなるよねよわがいむちでしあがあてかがみよりなあじむきからめかがみでとりよらいあしきちかりにさとられあことめわれよみらいめわがちでちりようにふうじかがみとしみめきよにかくてしあがあがやぶられしよべつにかけしわがきむむろいめよつどうさせしり』
ユウナはサクに言った。
「あたし思うんだけれど、ラックーちゃんが作った童歌に意味があるのだとしたら、"言葉遊び"の気がするのよ」
「言葉遊び?」
「ええ。ラックーちゃん達神獣が絶対嘆願させたくないというのなら別だけれど、嘆願することを許していて、なおかつ頭のいい白虎に敵対心燃やしているというのなら、難解すぎるものにはならないと思うのよ。ラックーちゃんの民もわからないといけないわ」
「まあそうでしょうね。ラックーが民に喧嘩売っているのなら、これ以上ねぇほど難問な気がします。ラックー、お前は白虎以外に緋陵の民にとは喧嘩してねぇよな?」
『当然である! 我の怒りは不当なるものにしか向けぬ! 我が我が民と喧嘩したら、国がなりたたぬ! 女神ジョウガにどう申し開きをすると言うのだ!』
「あたしはね、ラックーちゃんが童歌にしたということが、実は子供もわかるようなものにしていたんじゃないかなと思うのよ」
「そこまで簡単に?」
「難しいだろうという先入観なら難しくしか思えないわ。仮に白虎も、朱雀が対抗して作ったと言われたら、そう簡単に作っていないと思って、あれやこれや考えると思うの。ラックーちゃんにしてみれば、そうやって白虎が長く考えていれば考えているほど、してやったりときっと気持ちいいと思うのよね」
「随分と断言しますね」
「うん、だってあたしがサクに対してそう思っていたもの」