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吼える月
第34章 連携
「そして最初にしてた一文は」
"我が眠りを妨げる者 鏡の呪いで火の鳥となす"
「うん、鏡がなにか重要になっているのはわかった。火の鳥についても、もしかしてこの先に溶岩があるかもしれないこともわかった。だけどさ」
テオンは一同を見渡して言った。
「暗号解けたけど、扉になにも変化ないよね。間違って暗号を解いているからかもしれない可能性はあるけれど、この暗号が正しいのになんの変化ない可能性もある? もしかしてこれって解き損、時間の無駄だってこと!?」
符陣の光がなくなったわけでも、特別な光に包まれたわけでも、なにかが開く音がしたわけでもない。
てっきりこの石の建物に入れる手がかりがあると思ったテオンは、肩すかしをくらい、そして途方もなく不安になる。
「鏡って言われているけれど、ここにない以上中にあるんでしょ。一体鏡をどうしろと言っているのかわからないし、呪いがどうのって嫌な予感しかしないんだけれど……」
シバは端正な顔を翳らせて考え込んでいたが、やがて力強く言う。
「本当にこれは嘆願の内容か? そして本当に鏡はこの中にあるのか?」
「え?」
「罠を発動すると脅しているのに、なにを嘆願しているのかわからない。この中に眠らせろと言っているのか? 情報が圧倒的にたりない。もしかして」
はっとした顔をしたシバに、テオンもまた同じことを続けた。
「もしかしてまだ暗号があるの!?」
「全部解いてないから、扉に変化がないのか。解いたらその手がかりがみつかるのか、それとももっと別の方法があるのか。だけど、本当に他にも暗号があるのだとしたら――」
ユエが笑った。
「きゃはははは。最初から蠍ちゃんは、文字が書かれて進めない場所がふたつだと言ってたよ?」