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吼える月
第34章 連携
「だったら、あいつらが解かないとだめなのか!?」
「うっわー、最悪。お姉さんはいいとしても、あのお兄さんとラックーだよ。どっちが頭がいいかなんて、見た感じわからないけれど」
「あいつより、神獣だと言い張っているラクダの方が頭がいいだろう」
「鼻水垂らして、変な奇声あげるラックーの方が?」
「ユウナが先導してくれればいいが……」
「シバ、今考えるの諦めたでしょう!」
「そうだ!」
テオンは不意に手を叩いた。
「ワシ、出番だよ。ワシ、ワシ!? 寝てるんじゃないよ!」
ぴぇぇぇぇぇぇ~!!
蠍の甲羅の上で寝ていた熊鷹は飛び起きた。
「この変換のと、同じじゃないかもだけれど、一応刻まれていた文字と童歌を文にするから、お兄さんのところに渡してあげて。ユエ!」
「うん、サクちゃんに教えてあげるの! ユエ、サクちゃんよりラクダちゃんよりずっとずっと賢いから。きゃははははは!」
ぴぇぇぇぇぇぇ!!
「よし、じゃあ書くからね」
そしてテオンは道具の中から筆を取り出し、紙にさらさらと書いて熊鷹の足にくくりつけようとした。
「あれ、そうだ。イルヒの手紙つけたままだったんだ」
テオンは文を広げて見ると、次第に顔を曇らせた。
「どうした、テオン」
「ん、イルヒからじゃなくてジウからだった。ギルが……突然熱を出して倒れたんだって」
「なんだって!? でもあいつの身体には青龍が……」
「青龍の反応も弱くて、ギルの口でこう言ったんだって。それを言ったのは、ギルなのか青龍なのか、ジウもわからなかったみたいなんだけれど」
『あいつらを戻せ。もうお前達を守れない』
「だからジウが、シバに一旦戻れって。ここは僕がなんとかするからシバは……」
今危険なのは、シバを育てたギルなのか、青龍なのか。
それとも助けようとしているイタチの方か――。
「……っ」
シバは拳を握りしめ、睨むようにして遙か遠くにある、高い天井を仰ぎ見た。