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吼える月
第35章 希求
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蒼陵の救出に一役買った、白イタチ姿の黒陵国の神獣玄武を救うため、訪れた緋陵国は砂漠化し、神獣朱雀はところどころの記憶が抜けた、奇妙なラクダの姿となっていた。
緋陵の変化の原因が、黒陵国の武神将サク=シェンウの母サラの妹であり、家族を殺して狂い死にしたという、元緋陵の武神将だったヨンガ=イーツェーが、朱雀にした嘆願の儀にあるのではと思い至った、ふたつに別れた一行。
砂漠の下にある咎人の石棺にある嘆願内容の解読を試みる、蒼陵国未来の祠官であるテオンと元武神将の息子であるシバと、素性がわからぬ謎の少女ユエは、緋陵に伝わる童歌を用いて次のように解読した。
"我が眠りを妨げる者 鏡の呪いで火の鳥となす"
"我の怒り実を虚に変え、汝の『鏡』の中に閉じ込める何人たりとも『鏡』を進むのは許さじ"
一方、朱雀であるラクダと行動を共にしている黒陵の武神将サクと、亡き黒陵国の祠官の娘であるユウナは、童歌を用いずに次のようなところまで解読した。
"偉大なる朱雀よ我が命で嘆願す鏡より汝の「きからを」鏡で取り払い悪しき「ちかり」に悟られんことを"
"我は未来を我が地(血?)で「ちりよう」に封じ鏡と民を「きはにかくて」嘆願破られたは別にかけた我が「き」の呪いを発動させたり"
……テオン達が知った蒼陵国の危機を知らずして、彼らは、あと少しの解読を試みる。
~倭陵国史~
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