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吼える月
第35章 希求
「そう考えると、意味が通じねぇのは、悪しきなにに悟られたらいけねぇのか。ちかり、ちりよう、ちはにかくて、が解けませんね」
「ちは、またなにかに変換するのかしら」
「そうしたら、"き"から変換した意味がなくなる。待てよ、元々"ち"だったのは……」
"ちりよう"、"ちかり"
「ひりょう、ひかり、かしら!」
「意味は通じます」
元々の"ち" → ひ
「だとしたら、この一文はこれで意味が通じますね」
"偉大なる朱雀よ我が命で嘆願す 鏡より汝の力を鏡で取り払い 悪しき光に悟られんことを"
「いや、ここが駄目だ。鏡より汝の力を鏡で取り払い……鏡が重なっている。どちらかの鏡がおかしいんでしょう。もう一文にヒントがあるか……」
"我は未来を我が地(血?)で緋陵に封じ鏡と民を「ちはにかくて」嘆願破られたは別にかけた我が地(血?)の呪いを発動させたり"
「ちはかくて、がわからないわね。鏡と民をどうしたいのかしら」
「ここに鏡か。変換するのは鏡なのか、かがみの中の一文字なのか」
しばし考えこんだユウナが、サクを見上げた。
「ねぇ、サク。武神将だったら、鏡を使ってなにをしたい?」
「え?」
「もしも"呪い"とか不穏なものではなく、ちゃんとした武神将としての役目を果たそうと思ったら、なにを守る?」
サクは眉間に皺を寄せながら、言った。
「国と民ですね」
「ええ! そのふたつの組み合わせになると思う。だとしたら、ここの鏡の部分を、国……もしくは緋陵だとしたら?」
鏡 → 緋陵
"我は未来を我が地(血?)で鏡に封じ緋陵と民を「ちはにかくて」嘆願破られたは別にかけた我が地(血?)の呪いを発動させたり"
「もう一文は、元々あった鏡を変換したら……」
"偉大なる朱雀よ我が命で嘆願す 緋陵より汝の力を鏡で取り払い 悪しき光に悟られんことを"