パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第35章 希求

　

『ばへぇぇぇぇぇ!!』


　突然ラクダが嘶(いなな)いた。


『なぜそこまで来てすべてを解かぬ！』


「ラックーはわかるのか、"きはにかくて"」

『わからないが、せっかく我の童歌があるではないか！　それを使えば……』

　なにやら使って欲しそうに、大きな鼻の穴をさらに大きくさせて興奮するラクダの前で、サクとユウナは顔を見合わせて、同時に言った。

「「面倒臭い」」


『なんだと!?』

　ラクダの鼻から、不純な粘液がぽたりと地に落ちた。
　

「だってここまで黒陵組の力で解いてきたのよ？　まるで意味がなさないものならまだしも、ここまでわかったんだし。見ただけで、ここまでこれたんだから偉いでしょう？」

「ええ、すべて解かねぇといけねぇというわけでもねぇですし。ヨンガは正気で嘆願の儀をして、ラックーの力を失わせた。どうしてそういったことをしたのか、理由はわからねぇなりにも、それだけでもわかれば……」

『なぜ正気だと言い切れる！』

「ここだよ、この"悪しき光に悟られんことを"。これで、敵対するなにかに知られないように、嘆願の儀をしたということがわかるだろ」

『ふむ。しかしヨンガが悪だとしたら、善は敵となる。ヨンガを止めようとした家族を、皆殺しにしたというのは？』

「つまり、ヨンガはなにか大それた野望を、嘆願の儀で叶えようとしたと？」

　ラクダは、ばへぇぇと鳴いて頷いた。

「だったら死ななくてもいいだろう。生きていてこそじゃねぇか？　そこらへん、ラックーは人間達を見てきただろう。大きな欲に滅ぶ人間の行動を。死ぬことを望んでいたか？」

　ラクダは、ばへぇと項垂れる。

「死後まで嘆願の儀の効力を持たせようとしているのがよくわからねぇ。なにかがあったのだと思うが、それはヨンガ個人のものではねぇ気がする。あまりにでかすぎる」

『………』

「でもまあ確かに、一家を皆殺しにしておいて正気だったとは言い切れねぇものがある。ヨンガの大義を皆が反対したのか、それとも別の理由が……」


「これが理由ではないかしら？　これは"血の呪い"じゃない？」

　"嘆願破られたは別にかけた我が血の呪いを発動させたり"