この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第35章 希求
「うわわっ、赤い光の抵抗が厳しい。どうすれば……っ。そうだユエ、笛」
「ユエの笛は、骸骨は効果ないよ。生きていると思っている餓鬼止まり。あの子が、来てくれてたら……。あの子の担当は『死』だから」
「なにそれ、そんな担当なんてあるの?」
「うん」
「じゃあどうすれば……」
「この扉がなにをもって敵と思っているのかね?」
「え?」
「飛ばないと攻撃しないということは、見ているのかな」
「見る……え!? だったら……っ」
青龍の力を使うには、海に輪郭を満たせて形にしなければならない。
それはテオンが創り出した幻影のように。
「だったら僕が、幻影で扉を騙してみる!」
どうすれば、力を使役出来る?
……サクならなにがあってもやり遂げる気がする。
サクが出来て、自分が出来ない理由はなんだ。
同じ武神将を父親として生まれて、力を扱えない圧倒的な差違が出るのはなぜ?
シバは悔しかった。
必要とされているのに、自分では出来ないことが。
特殊な扉のせいにするのではなく、シバは己の未熟さのせいとしか思えなくなった。
「凄い凄いテオンちゃん! 扉の赤い光、お骨を壊してる」
ぴぇぇぇぇぇ!!
ばへぇぇぇぇ!!
「役にたったぁ、この力! というか、目でもついてるのかな、あの扉」
どうしてあの時は、出来た?
あの時の状況はなんだ?
あの時は、敵に攻められ絶体絶命だった。
子供達を守らないといけない、とただそれだけで。
だったら今、守るものはあるのになぜ出来ない?
なぜオレの身体は、危機だと感じない?
シバは怒りに満ちた目をカッと見開くと、突き刺した青龍刀を持ち上げ、
「「シバ!?」」
彼自身の脇腹に突き刺した。