この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第35章 希求
 


「青龍――っオレは強くなりたい。誰よりも強くなりたいんだ。父親よりサクより、なんでもする。皆を守れるほど強くなりたいんだ。青龍っ」


 テオンがシバを見ながら言う。

「……玄武自ら他国で力を貸したのとはわけが違う。嘆願は強制。神獣の盟約には囚われないだろう。ここは朱雀が力を持たない国。だとしたら余計に成功する可能性が高くなる」

「うん。シバちゃんは強くなる。守る力を渇望しているんだから、嘆願の資格がある」


「そうだ。僕からも願い奉る。我らの神獣青龍よ。武神将ジウ=チンロンの息子、シバ=チンロンの嘆願を聞き入れたまえ!」

 どんなに知識があろうとも、弱いテオンは願うしか出来ない。


 "我を使役する嘆願は、我の力を最も持つ強き者しか認めぬ"


「青龍、今のオレを変えたい。頼む、頼むからオレに……皆を守る力を!!」

「青龍、どうかその力、シバに授けたまえ!」


"我を制するほどの強さがあるのなら、我必ずやその願いを聞き遂げよう"

「見て、ラクダちゃん。シバちゃんが!」

『ああ。我が青龍であるのなら、邪ないふたりの願いに耳を傾けたくなる。ならば我からも。我が同胞青龍よ、わけあってこの姿となっている朱雀である。青龍よ、シバは嘆願を聞き入れるに値する。我の国で、汝の出現を許可する!』


 シバがほのかに発光する。

「青龍ちゃん、ユエだよ。シバちゃんの"覚悟"を信じて。シバちゃんは大丈夫、強くなるから。ユエが保証する。だから青龍……」

 光は強くなる。


 ユエとシバ、テオンとラクダは同時に言った。


「「「『降臨せよ』」」」


 青い光がカッと広がる。

 ど…ん、と、頭上から雷が落ちたような感覚になったシバは、体内になにかがいるのを感じた。


「我、汝の嘆願聞き遂げたり」


 シバの口から、シバのものではない、低い声が出た。

 それは、ギルの口から放たれていた声と同じだった。

 


/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ