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吼える月
第7章 帰還
サク。
サク。
サク。
サクのいない世界は、冷たくて苦しくて……息が出来なくて。
体が絶叫を上げているの。
こんな世界が幸せであるはずはない。
リュカに壊されたところが、痛くて仕方が無いの。
リュカの冷たい眼差しが、体を凍えさせるの。
「サク……」
お願い、サク。
サクもあたしから離れていなくなるのなら――
あたしをいっそ、粉塵になるまで切り刻み、そしてあたしを、サクの体内に入れて欲しい。
サクの命尽きるまで、一緒にいさせて。
凍えるあたしを、サクの熱で燃やして。
寂しいよ……。
悲しいよ……。
ひとりが怖い――。
「サク……。いなくならないで……」
「姫様……俺は……」