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吼える月
第7章 帰還
寒い、寒い、寒い……。
ユウナは暖を求めて手足を動かした。
空虚さを補うための暖かさを感じれば、幸せそうな笑みを浮かべる。
「……なんでこの姫様は、寝相が極端に悪い上に寝起きまで悪いんだ? 精神きたして、幼児返り? 昨日の今日で寝かしてやるのが筋か? いやいやさすがにこれ以上は俺がやばくなる。姫様、起きて下さい。起きないのなら、せめてその体勢を……」
「やぁ……暖かいの、行っちゃやぁ……」
「姫様……。ふぅ、まだだめか。これ……新手の虐めか? 実は起きていて、寝相がすごく悪いフリをしていて。しかも俺の気持ち知っていて、こうして可愛く甘えっ子状態でひっついてくることで、俺の理性の限界を試してたりとか? まさか本当に誘ってたり? 姫様……?」
「……ん……うるしゃい……」
「……なわけねぇですよね。そこまでの性悪さはこの姫様にはねぇ。純粋悪っていうものだ。……姫様、ひっつかれて嬉しいんですが、俺一睡もしてねぇんです。一部と言わず、体中がガッチンガッチン堅くなって、この体勢は大剣素振り千回より辛いんです。姫様、せめて……」
「この湯たんぽ……しゅごくうるしゃい……」
「この俺を湯たんぽ扱いですか。そりゃあ俺、熱くてほかほかしているでしょうけどね。めらめらする欲で、俺自身熱くてたまんねぇんですから。
姫様、朝です。起きましょう? もういいだけ湯たんぽは堪能したでしょう? 気を紛らわせるためとはいえ、さすがに俺こうしてひとりでぶつぶつ独りごちているのは、虚しい以上に気力体力疲れてきましたよ」
「うるしゃ……くぅ……」
「姫様、寝ないでくだ……う、なんでまた、そんな動きを。あ、それは……ちょ……やばいって、直にあたる……。はぁ……。考えるな考えるな……って、動くなって……。くそっ……朝勃ちにひどい仕打ちを……」