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吼える月
第37章 鏡呪
そして――シバの体から放たれたのは、忌まわしき闇色と、神聖なる青光。
邪と聖がぶつかり合い、互いの存在を主張して譲らないこの場は混沌となり、誰の制御をも受け付けない。
そんな中――。
ガシャアアアアアン!!
なにかが木っ端微塵に砕け落ちる音がして、声が響いた。
「我、黒陵の武神将、神獣玄武に請い願う」
「サクちゃん!?」
ぴぇぇぇぇぇぇ!!
ぴぇぇぇぇぇぇ!!
熊鷹が、喜んで地面を飛び跳ねている。
「よおし、ワシ!! よく我慢していてくれた。ここからは、お前の出番だ! 玄武刀を頼む!」
ぴぇぇぇぇぇぇ!!
飛んだ熊鷹が急降下し、音をたてて飛んで来る刀を、足で横向きに捕えた。
鋭い刃は熊鷹の羽を数枚切り落としたが、それでも熊鷹は刀を放さない。
刀はかなり重く熊鷹の体は次第に沈んだが、熊鷹は目を血走らせ、両翼をばさばさと懸命に動かして浮上する。
「神獣玄武よ。汝が盟友、神獣青龍と共に、神獣に仇なす悪しき力を排したまえ!!」
声と共に、現れた水色の光が場を裂いた。
それは熊鷹がぶら下げた玄武刀にぶつかると、一気にその力を強めてぶわりと波打つかのように拡がった。
青色に溶けることはなく、水色を維持したままの光は、青色を守るようにして寄り添いながら、黒光を押さえ込んでいく。
凄絶な光と風が場に踊り狂っていた。