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吼える月
第37章 鏡呪
「ジウとの確執はわかってる。だけどジウを超えたいと思うのなら、やっぱり同じ地位で、ジウが成し遂げられなかった〝最強〟の肩書きを持つことだと思うんだよね」
ちらっと、テオンはサクを見た。
当然サクは、なにか言いたげだ。
「今まで最強の武神将は、黒陵のハン……お兄さんのお父さんに取られちゃっていたけれど、僕の世代は、蒼陵に、最強の武神将が欲しいんだ。民も絶対嬉しがるし?」
ふふふ。
どこか黒い笑みを浮かべるテオンが焚きつけると、ユウナが憤然としてテオンに言った。
「最強の武神将は、サクが引き継ぐのよ!? サクはハン仕込みで、とっても強いのよ!? イタ公ちゃんが玄武刀を渡すくらい、イタ公ちゃんだって認めているんだし!!」
「お姉さん。お姉さんも玄武の祠官になりたいのならわかるよね? 子供だからって、親の世代のすべてを引き継がなくてもいい。親が〝最強〟だったらといって、子供も踏襲出来るなんて考えは甘すぎ。そんなんじゃ祠官にすらなれないんじゃないかな?」
ユウナがぴしりと固まった。