この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第37章 鏡呪
「……お、おい、テオン」
「なあに、お兄さん」
「青龍の力を持ったら、お前……俺達玄武組に敵対する気かよ!?」
「あはははは、そんなはずないだろう? 僕達青龍組は、玄武組にはとっても感謝しているんだし。だけど、最強の武神将だけは譲れないね。まあ、シバ次第だけど?」
シバは凄く考え混んでいる。
「おい、シバ。考え込まなくてもいいんだよ。お前はお前らしくな……」
そこに鼻息荒く、ラクダが参戦した。
『なにを! 緋陵にこそ最強の武神将を誕生させてみせるぞ!』
「ラックー、その前にまず民を増やさないとね。髪の毛増やすよりは、簡単だと思うけれど」
テオンが一笑に付す。
『うぬぬぬ。我が武神将にめぼしい女はおるのだ。それからでもよかろうて』
するとテオンは驚き、サクと顔を見合わせる。
「ラックー、この地には女どころか、人間が誰もいねぇじゃないか」
『そこにいる姫こそ、緋陵の武神将に相応しかろう』
「あ、あたし!?」
勧誘されたユウナは、己を指さして裏返った声を出した。
『然り。重い玄武刀を軽々と振り回す力強さといい、敵を怖れぬその勇気といい。新生緋陵の武神将に……』
「「冗談じゃない」」
母親を思い出して慌てたサクに声を被せたのは、シバだった。
皆の視線を浴びたシバは、コホンとわざとらしい咳払いをひとつして、テオンに言った。
「あの男の後を継ぐというのは気にくわないが、最強というのは魅力ある。そうか、強い武神将のさらに強い……最強を求めてみるのもいいな。はっ、こんな馬鹿が最強になれるのなら、オレだってなれるだろう」
「シバ、お前――っ!!」
「そうよ、シバ!!」
黒陵組からの大反対に、笑い声が起きた。
「きゃははははは!」
ぴぇぇぇぇぇぇ!!