この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第3章 回想 ~予兆~
 

「サク」


 消沈して背中を向けたサクに、リュカが柔らかな声をかけた。

 その穏やかな声音が、優位性を見せつけているようで彼を苛立たせる。


「なんだよっ!!」


 振り向いた瞬間、ユウナが密やかに前もって用意していた籐の籠の中から、山にある花びらを手で掬って、彼に振りかけた。


「優勝おめでとう〜。サクはあたしの自慢だよ?」


 ユウナが嬉しそうにふわりと笑う。

 完全不意打ち。


 頭に花びらを乗せながら、サクは呆けたように突っ立った。


「サク、優勝おめでとう。見られなかったけれど、僕は君が優勝すると信じていた。だから……贈り物。おめでとうと友情の印に」


 リュカが差し出したのは腕輪だった。


「玄武が彫られた、黒水晶の腕輪。未来の武神将に」


 それをつけたサクは、大人びて見えた。


「リュカ……」


 サクの漆黒の瞳に、感動の薄い膜が出来る。


「あたしは首輪。同じ黒水晶が揺れるの。似合うわよ」


 さらに首筋に手を回してつけて貰う、愛しい姫からの贈り物。


「姫様……」


 嬉しくて感激して、胸がドキドキした。



「どうせなら三人ともお揃いの黒水晶を持とうという話になって。あたしとリュカは」


 ふたりは右手を見せた。



「………」


 ふたりはお揃いの指輪だった。
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ