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吼える月
第37章 鏡呪
 
 シバは砂の断面に続く橋のような道を慎重に歩いていたが、あと少しで砂の断面に行き着くというところで、ふと足を止め、背中の青龍刀を引き抜く。

「どうしたの、シバ!」

 訝るテオンが声をかけると、シバは振り返らないままで言った。

「罠が仕掛けられている。この先、敵の射程距離だ」

 サクは目を細める。

「オレが引きつけながら凌ぐ。だからお前は皆を連れて行け」

 そして、シバが一歩を踏み出すと、


「シバ!?」


 砂の断面から矢が一斉に放たれた。


「させるかあ!!」

 刀を旋回したシバは矢を弾き、矢の発射口とみられるところを青龍の力で破壊していく。

 だがそれでも広範囲から、矢は途切れなく放たれ続ける。

 そこでシバは、矢口を直接刀で切り落とそうと飛び跳ねるが、そうした途端、矢口は引っ込んでしまったかのように、砂の断面しか見えなくなってしまった。

 一応は切りつけてみたものの、シバが地に着地した頃には、また顔を出した矢がシバを狙う。

「ちっ!!」

 それは華麗なる剣舞のように――。

 夥(おびただ)しい数の矢が襲っているというのに、シバは重々しい刀を軽々と動かし、体のしなやかさを見せる。

 だが、きりがないのだ。
 矢は、途切れることがなく放たれている。
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