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吼える月
第37章 鏡呪
「お兄さん、ワシで移動したところでも、全部が矢の標的にされてしまうよ。今の状況では無理だって」
ぴぇぇぇぇぇぇ!!
「移動は今じゃねぇ。きっとお前達は渡れないと思うから」
「サク、どういうこと!?」
「ちょっと姫様、シバの加勢にいってきます」
サクは走ってシバが格闘する射程距離に入ると、片手から放出した水色の光で、シバを守るようにして矢を弾いた。
「どうして、来るんだ!? ここはオレに……」
「いいか、シバ。地だ。地に足が着くと矢が発射される」
「え……」
「だったら、地に足を着く者と、宙を飛ぶ者がいると、どう判断するんだろうな。……シバ、飛べ!」
サクが玄武刀を水平にした意味を悟り、半ば条件反射的にその玄武刀を踏み、シバは高く舞う。
すると矢口は突出したまま、矢の発射を止めた。
「恐らくそれはいくら破壊しようとも、再生されるだろう。壊すべきものは……地だ」
そしてサクもまた跳ね、砂の断面を蹴るようにして高く飛び、落下を始めるシバの足を掴むようにして、さらに上へと放り投げる。
「シバ、地に力を放て!」
サクの声を合図にして、宙からの二地点から、青色と水色の目映い光が地面に向かう。
「いっけぇぇぇぇぇぇ!!」
そして――。
『ひ、ひぃぃぃぃ~』
テオン、ユウナ、ユエを背に乗せた熊鷹が、細い足を巨大なラクダにがしっと掴まれたまま、目を血走らせながらよたよたと向こう岸に渡っていた。
サクとシバが、地面を大規模で壊してしまったため、歩くことが出来なくなった一行。
『もっと高く飛ぶのだ。もっと高く~』
ラクダは、深淵の闇を見ると恐怖に暴れたため、熊鷹の動きが派手な上下運動になり、三人は悲鳴を上げる。