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吼える月
第37章 鏡呪
「我の扉って、どんなものなの、ラックーちゃん」
熊鷹の背に乗るユウナが、下に向けて尋ねる。
『朱雀模様が彫られておる。……これは、朱雀殿のようだな』
「朱雀殿?」
サクは驚いた声を出した。
「なあ、ここは位置的に、緋陵で朱雀殿であった場所なのか?」
『色々とぐるぐる回ってきたからわからぬ。だが緋陵の遺物が沈んでいるのだとすれば、我の紋章を使えるのは、祠官か武神将かに限られる』
「確かに棺の外壁に、この模様はあったわね」
『然り。この空間がヨンガという朱雀の武神将に関連するゆえに。棺の中になぜ朱雀殿が入り込めるのかはわからぬが、我の模様がついた赤き扉となれば、朱雀殿以外には考えられぬのだが……』
サクは、蠍がいる砂の断面を見上げる。
「だとすれば、俺達が見ているのはまやかしなのか?」
「どちらにしても、ラックーちゃんの言う通りに扉があるというのなら、中に入ってみなければ。もしかして行方不明になっているという祠官やヨンガがいるかもしれないわ」
『ふむ。だがしかし……朱雀の祠官か武神将でなければ開かぬかもしれぬ』