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吼える月
第9章 代償
「すべて俺のせいだ……。早く、帰ってきていれば。餓鬼殲滅の祠官の命を破っても、玄武殿に早く戻っていれば!! こんな事態を回避できたかもしれねぇのに!!」
「親父……。違う、親父のせいじゃねぇよ。俺が……俺が弱かったから!!」
「――何日だ、契約は。すぐではないんだろう、お前がまだ生きているということは」
「あと6日」
「……6日っ!? それは向こうが指定したのか!?」
「いや、俺から」
「馬鹿かお前……っ。お前から指定出来るなら、10年でも100年でもどうして多めに言わねぇんだよ。そこんところを質素倹約してどうすんだ!!」
「いててて。親父、耳を引っ張るなって!!」
「お前……姫さんをどう護るつもりだ!? たった6日でなにが出来る!? それじゃなくても相手は智将と呼ばれた狡猾なリュカだぞ!? 簡単にこちらの思い通りに動かないことくらい、馬鹿な頭でもわかるだろうが!!」
「だから――親父に頼みたいんだ」
サクは強い語気でハンに言った。
「6日と指定したのは、それまでには親父と合流できると思ったからだ。強い親父なら姫様を守れるから。俺が駄目でも、親父ならこの先、姫様に辛い思いをさせずに守り切れるから!! だから!! 親父と会えるまでの期間、それまでの命と引き替えに俺は!!」